今更なのですが、今年最も為替界を賑わした「サブプライム問題」についてまとめておきます。
サブプライム問題 概要
信用力のある層は「プライム」と呼ばれていて、信用力のない層が「サブプライム」と呼ぶそうです。
その信用力のない層に対してお金を貸し付けしている、いわゆる高利貸しに近い形を行っていたのが今回問題になっている「サブプライム問題」です。
どんな人に貸していたのかというと、
サブプライムとは – はてなダイアリー
- 過去12ヶ月間に30日間以内のローン返済延滞が2件以上、または過去24ヶ月間以内に60日以内の延滞が1件以上ある
- 過去24ヶ月間に法定判決、抵当物件の差押え、担保回収、ローンの不払いがある
- 過去5年間に自己破産がある
- 信用調査機関のリスクスコアが所定の値を下回る。
という人たちでも借りることができるローンだったんですね。
じゃなぜそんな人たちでも貸すことができたのか?という疑問が起きるのは当然ですが、その理由は、貸したお金で買った家自体が担保に入っているためです。
ローンの借り換え(ローンを組み直すリファイナンス)などをしてもなお返済できなくなったとしても、最終的にはその家を売れば貸し付けたお金は回収できる、と。
なぜなら、米国の住宅市場はこれまでずっと値上がり傾向にあったたに結果として、安心して住宅向けサブプライムローンを展開できたわけです。
景気がよいので不動産価格がどんどん上昇している
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サブプライムローンで返済ができなくなっても担保に入っている家を売却すれば利益が出る
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そのお金をさらにサブプライムローンとしてサブプライム層に貸し付ける
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サブプライム層に貸せば貸すほど儲かるので、基準はどんどん緩くなる(より低階層の信用が低いサブプライム層に貸していくことになる)
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金余り発生。以下、無限ループ。
サブプライムローンの「債券化」
そしてやっかいなのが、さらに流動性を高めるために、このサブプライムローンを「債券化」したことです。
多くのファンドに潜り込んでいる「サブプライム」:破綻目前、サブプライムの猶予は3カ月 / SAFETY JAPAN [大前 研一氏] / 日経BP社
こうした人々の顔が見えている間はよいが、ローンを何千、何万と束ねて、そこからREITのような小口債券化した商品を作る。いわゆるABS(アセット・バックト・セキュリティ:資産担保証券)の一種である。例えばローンの借り手が12%の利息で支払う場合、貸し倒れや回収・事務処理費に利益を上乗せして4%の余裕を見て8%の利回りの商品としてこれを売りに出す。この時点で、回収する人々とこの債券を買う人々が完全に切り離される。いわゆるファンドなどが運用難からこうした商品に飛びついて知らず知らずの間に組み込んでしまうのだ。
そして永遠に不動産価格が上昇することはあり得ないのでこの債券は焦げ付くようになります。
そうなると、
サブプライムローンの返済ができなくなるサブプライム層が大量出現
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担保として取り上げた住宅が市場に一気に増える
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住宅供給過多となり、住宅の価格が下がる
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ローンの返済が完遂していなくても住宅を売れば儲かるはずだったのに、儲からなくなった
最悪の連鎖
一旦問題が明らかになったものを一体、誰が好き好んで買うのでしょうか。必然的に負のスパイラルに陥ります。
サブプライムローン債権で儲かりまくりだった
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住宅の価格が供給過多で下落、さらに景気も停滞し始めた
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サブプライムローン債権に頼ってファンド運用していたヘッジファンドが破綻
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銀行や投資家があわてて資金回収し始める
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ヘッジファンドはサブプライムローン債権の穴埋めのためにほかの方法で利益を上げようと必死になる
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穴埋めできないヘッジファンドは崩壊、清算、廃業
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サブプライムローン債権を含んでいるかもしれないファンド運用に対して信頼性が急速に悪化
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お金の動き、つまり流動性が低下。全世界に波及。
アメリカ経済だけではなく、全世界の経済がおかしくなってしまったのがこのサブプライム問題の影響です。
2007年だけでなく、今後も注目されるトピックになっていくことでしょう。
中国・中東など政府系ファンドが続々出資
・今年10~12月期のサブプライム関連損失が最大110億ドル(約1兆2430億円)に上るとみられる銀行最大手、シティグループは2007年11月、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁から75億ドルの資本を受け入れることを決めた。
・証券大手のモルガン・スタンレーにも中国の国有投資会社、中国投資(CIC)が50億ドルを出資することを決めた。
・証券大手、ベアー・スターンズは中国の中信銀行と資本提携した。
・米大手証券メリルリンチがシンガポールの政府系ファンド、テマセク・ホールディングスから出資を受け入れる方向で交渉している。出資額は最大で50億ドル(約5600億円)に上る。
参考資料
・急速な円高や全世界同時株安の原因、「サブプライム問題」とは?
・サブプライムとは – はてなダイアリー
・多くのファンドに潜り込んでいる「サブプライム」:破綻目前、サブプライムの猶予は3カ月 / SAFETY JAPAN [大前 研一氏] / 日経BP社